安定性試験槽のモニタリングとバリデーション

ヴァイサラの安定性試験槽モニタリングソリューションは、柔軟性に優れたアラーム機能とカスタマイズ可能なレポート作成機能を備え、独立したリアルタイムトレンドとオーディットトレイルをご提供します。 ヴァイサラは、温度や相対湿度などの重要パラメータをモニタリングに関する日米EU医薬品規制調和国際会議(ICH)や米国食品医薬品局(FDA)の要件への違反のリスクを軽減します。

ヴァイサラの環境モニタリングシステムは、以下をご提供します。
  • 業界トップのNISTトレーサブルなデータロガーと計測機器
  • 既存のネットワークへの簡単な接続、リモートアクセス、最大数千までのモニタリング場所の拡張性によって、所有コストを低減
  • GMPを遵守し、欠損のない保護されたデータ記録
  • SMS、Eメール、ポケットベルなどによる24時間365日のリモートアラームが、許容範囲外の状況による不正確な計測のリスクを軽減
  • オンデマンドで自動作成されEメールで配信されるユーザー設定によるレポートは簡単にカスタマイズでき、操作/解析用のデータにエクスポート可能
  • 無線センサオプション
  • 円滑な稼働および高い生産性のための、迅速で簡単な据付時適格性評価(IQ)/運転時適格性評価(OQ)のバリデーションおよび現場設置サービス

ヴァイサラは、スポットチェックや変換器の現場校正向けにさまざまなハンディタイプの湿度温度計もご提供しています。

安定性試験槽のモニタリング

医薬品の安定性試験については、日米EU医薬品規制調和国際会議(ICH)による取り組みが行われ、安定性試験に関する最終ガイダンスが欧州、日本、米国で採択されています。

また、米国食品医薬品局(FDA)は、21 CFR Part 203(連邦規則第21条第203章)の中で、「薬剤の製造業者、公認販売業者、およびそれらの代理店は、すべての薬剤標本を『安定性、完全性、有効性を保持した状態』で保管と取り扱いを行い、薬剤標本に汚染、劣化、および不純物混入がないようにすること」と定めています。

安定性試験槽では、温度、湿度、差圧、照明、ガスレベルなどの環境条件のパラメータの制御、モニタリング、記録が必要です。試験失敗のリスクを軽減するには、機能性と適合性に優れたモニタリングシステムが求められます。望ましい機能として、データロギ
ング、データファイルの自動バックアップ、インターネットによるモニタリングとレポート作成のほか、無線、Eメール、電話、テキスト
アラーム通知などの接続オプション、さらにはデジタル署名、イベントとやり取りの完全な履歴、オーディットトレイルなどの多段階
データセキュリティが挙げられます。

安定性試験環境のモニタリングに使用するセンサは、バリデーションにも柔軟に対応できるものが理想的です。安定性試験室と試験槽の定期的なバリデーションを行う目的は、試験槽内全体の温度と湿度の分布が均等であること、という判定基準に適合させることです。

実際に使用するセンサの数は試験槽の大きさによって異なりますが、バリデーション技師はたいてい10カ所以上にセンサを配置します。例えば、4隅に1台ずつ、中央に1台、あるいはそれぞれの棚に3台ずつセンサを配置します。従来、温度マッピングは熱電対で行われていましたが、現在では最新の技術を利用できます。温度と湿度のセンサを搭載した無線データロガーは使いやすく、設置が簡単で、安定性試験室と試験槽のマッピングに必要な全体の時間を減らすことができます。

安定性試験槽の温湿度モニタリングに関する規制ガイダンス

規制当局は、安定性試験槽を利用する場合に以下の基準を満たすことを求めています。

  • 標準作業手順書や定期報告書などの適切な文書を整備すること
  • 試験槽と試験室には制御エリア全体に複数のセンサを均等に配置すること
  • 余裕のある多層式の棚を備えて整然と保管し、制御環境に対して適切に露出すること
  • 規制要件を満たすモニタリング機器(プローブやデータレコーダーなど)を使用すること
  • 連続したデータ記録と完全なトレーサビリティを有していること
  • 安定性因子が設定閾値範囲外の場合に是正措置を講じること

さらに、安定性試験には、試験の際に定められた条件から逸脱した場合にそれを検知し、通知するアラーム機能が求められます。製薬会社では、異常状態を検知し通知する以下のようなさまざまな方法を採用しています。

  • モニタリングしている数値が事前に定めた値を逸脱した場合に警報を発する
  • 逸脱条件(特定の時間における一定の温度または湿度)を外れた場合に警報を発する
  • 年間の平均動態温度(MKT)の変動に基づいて警報を発する
  • SMSまたはEメールで、警報またはイベントによって警報を発する

米国食品医薬品局(FDA)、医薬品評価研究センター(CDER)、生物学的製剤評価研究センター(CBER)、および日米EU医薬品規制調和国際会議(ICH)は、「業界向けガイダンス:Q1A(R2)新医薬品原薬および製剤の安定性試験」を発行し、新医薬品の原薬と製剤をEU、日本、米国の3地域で登録申請するにはどのような安定性試験データであれば十分かを規定することを目指しています。このガイダンスの「一般原則」では、安定性試験の目的は、原薬または製剤の品質が所定の期間に、温度、湿度、光などの多くの環境因子の影響下でどのような影響を受けたかを示すエビデンスを作成する必要があるためと述べられています。

また、安定性試験は、再試験期間の決定や、定められた薬剤の製品寿命に対して推奨される保管条件の決定に役立つものでなければなりません。安定性試験に関してもう一つガイダンスを提供しているのが世界保健機関(WHO)です。WHIOは、テクニカルレ
ポートシリーズの一つとして、「原薬および最終製剤の安定性試験附属書2」を発行しています。いずれのガイダンスも、安定性試験プロトコルの設計と実施の基本方針を示しています。

冗長なセンサ構成で不正確な安定性試験のリスクを軽減

長期、短期、および加速安定性試験の最も一般的なタイプは、温度、湿度、光を対象としますが、その他にpHや酸化ストレス試験などを対象にするものもあります。パラメータによっては、試験槽または試験室のモニタリングシステムに冗長性を持たせる方が望ましい場合があります。

例えば、湿度センサの場合(特に長期安定性試験の場合)にはドリフトを起こしやすいため、センサを追加することで、センサドリフトの影響によるフィードバック制御システムの歪みを補正できます。製薬分野の専門家と安定性試験の技術者の多くは、フィードバック制御システムがセンサドリフトを見えなくしている事実を把握していないかもしれません。

ドリフトは通常、システム画面には現れず、システムアラームでも検知されないため、安定性試験、製品品質、または患者の健康が脅かされるまで、問題があることに気付きません。安定性試験でセンサドリフトの影響が深刻になることがありますが、その解決方法は簡単です。フィードバック制御システムから切り離した独立のモニタリングセンサを導入すればよいのです。これによりシステムが適切に動作しているかどうかを検証でき、ドリフトの可能性を初期に検知できます。

フィードバック制御システムは、制御パラメータ(相対湿度など)に応じて信号を発するセンサに依存しています。システムは、この信号と所要の設定値(50%RHなど)とを比較し、自動的に出力を増減して、信号と設定値のギャップを解消します。多くのシステムはディスプレイやレコーダーを備えており、計測項目値が設定範囲を外れると知らせるアラーム機能を備えたものもありますが、これらの機器を同じ制御センサに接続している場合もあります。

時を経てフィードバック制御センサが汚染されたり劣化したりすると、その出力信号が仕様の範囲を外れてドリフトになる恐れがあります。しかし、信号のドリフトは通常徐々に大きくなるため、システムのディスプレイには示されず、アラームも発信されません。センサドリフトの進行は、検知できないほど緩慢な場合もあれば、一般的な校正サイクルより早く進行する場合もあります。センサにドリフトが起きてもシステムには変化も兆候も現れないため、業務または製品に支障をきたすまで問題の発生に気付かないことがよくあります。

このタイプのドリフトは多くの種類のフィードバック制御センサに発生しますが、特に相対湿度の計測に顕著に見られます。これは、相対湿度センサの内部構造が周りの環境と直接接触する必要があり、塵埃や大気中の化学物質などの汚染物質に対して無防備なままになるため、徐々にセンサドリフトが生じることが原因です。わずかな汚染が重大で恒久的なドリフトを引き起こすこともあります。このため、多くの安定性試験の専門家は、安定性試験のセンサ構成に冗長性を持たせ、モニタリングとマッピングの両方を定期的に実施しています。