研究センターや病院での停電時に環境モニタリングシステムでワクチンを守る

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    課題

     課題

    この国立研究病院が経営する小児科病院では、毎年6万件以上の小児予防接種が定期的に実施されています。この病院は「子供たちにワクチンを」(”Vaccines for Children”: VFC)プログラムに参加し、医療施設認定合同委員会(TJC)(旧称・JCAHO)の認定を受けています。
     
    VFCもTJCも、保管温度が許容範囲外となった場合の是正措置を含む、薬剤およびワクチンの保管温度に関する総合的な文書の作成を要請しています。TJCの認可基準では1日2回の保管温度記録が必要ですが、一部の州のVFCプログラムでは連続的なモニタリングが求められています。
     
    米国食品医薬品局(FDA)は、ワクチンが製品ラベルに記載されている温度の範囲外に置かれた場合、そのワクチンは廃棄しなければならないとしています(疾病管理予防センター(CDC)の「ワクチン管理勧告」を参照)。製造業者のデータには通常、ワクチンが耐用可能で有効性を維持できる保管温度が明記されています。
     
    短時間の温度逸脱でも、影響を受けた製品の使用期限が変わる場合があります。
    温度が1°Cを下回るとほとんどのワクチンが有効性を維持できません。
     
    家庭用(台所用)の冷蔵庫は、冷蔵室か冷凍室のどちらであっても保管には適しません。2つの庫室に対して1つのコンプレッサーしかないからです。比較的新しい家庭用冷蔵庫でも、冷凍室を-15°Cにしておくと、冷蔵室が冷えすぎる恐れがあります。
     
    内科医院におけるワクチン保管の調査から、ワクチン保管温度が許容範囲を逸脱する問題が多発していることが明らかになってきました。
     
    多くの病院病院で行われている温度モニタリングの一般的な方法は、冷蔵庫の温度を毎日1回か2回チェックして手作業で記録する方法です。この方法の欠点は、院内の忙しいスタッフが忘れることなく温度を記録することに頼っていること、間違った温度を記載する可能性があること、そしてスタッフが許容範囲を逸脱した温度を記録しながら問題視しない可能性があることです。
     
    ケーススタディで取り上げた病院の例では、看護スタッフの1人が数日間連続して許容範囲外の温度を記入していました。日誌には温度の許容範囲が2~8°Cと明記されていたのですが、このスタッフは温度が許容範囲内にあると思い込んでいたのです。
     
    この落ち度が明らかになると、数百人の両親や保護者に子供たちの受けたワクチンが無効だったことが伝えられ、子供たちの予防接種が無料で再度実施されました。
     
    以前、この病院ではVFCの要件に準拠したグラフデータ式温度計を使用していました。チャートレコーダーはペンが正常に動かず、誤ったデータが記録されるなど、たびたび機械故障を起こしました。電池の故障に数日間気が付かず、データに欠損が生じることもありました。
     
    また、毎週必要とされる用紙交換を怠ったために、1週前のデータにその週のデータが上書きされて判別できなくなることもありました。チャートレコーダーに推奨されている年に1回の校正費用は、新規購入費用の50%を超えていました。
    ソリューション

     ソリューション

    そこで、温度のモニタリングとアラームの機能を備えたヴァイサラの環境モニタリングシステム(CMS)が導入され、温度データと応答が記録されることになりました。システムは、施設から離れた場所に置かれた中央サーバに接続されました。
     
    CMSは、温度が設定範囲を逸脱したとき、あるいはセンサとサーバ間に通信障害が発生したときに、電子メール、電話、PCディスプレイ、テキストメッセージなどで警報を送ります。こうした通信障害には停電も含まれます。
     
    停電の間は、データロガーの予備電池で温度データが途切れることなく記録され、
    電力が復旧すると、データロガーの温度データが検証のためにサーバに送信されます。

    2008年7月27日、風速100マイル/時(約45m/s)に達する強風を伴う激しい雷雨が研究病院と附属病院の周辺地域を通過し、大規模な停電を引き起こしました。このとき、いくつかの病院が停電しました。viewLincモニタリングシステムから担当者に通信障害の警報がテキストメッセージで送信され、薬剤部長に伝えられました。
     
    担当者は急いで計画を立て、冷凍/冷蔵されているすべてのワクチンを停電していない病院に移送することにしました。担当者はワクチンを移送するまでの温度維持のために、凍ったアイスパックや角氷の入った袋を冷蔵庫の中に入れました。
     
    停電時の対応に関する規定では、当直の薬剤師が中央の保管場所にワクチンを移送するよう定められていました。しかし、雷雨被害の規模が大きかったためにこの措置を講じることができませんでした。
     
    薬剤部長と小児科病院所長は、被害を受けた病院から停電していない最寄りの病院にワクチンを移送することを決めました。
     
    ワクチンはアイスパックに詰められ、移送元の病院名が分かるようにマークが付けられました。市内数カ所で倒木と電線の切断に遭遇したため移送に困難を伴いましたが、停電発生時から停電していない病院でワクチンを保管するまでに要した時間は4時間未満でした。
     
    電力が復旧すると、病院とサーバの間の通信障害が解消されたことを伝えるテキストメッセージがviewLincシステムから送信されました。そして、Veriteqデータロガーに記録されていた温度が自動的にサーバにアップロードされました。
     
    薬剤部長が記録をチェックし、移送前の保管温度は許容範囲内にあったと判断しました。冷蔵ワクチンについては、温度が許容範囲外にあった時間帯は、温度が8°Cを超えたときからワクチンが冷温パックまたは氷に詰められたときまでと見なされました。
     
    冷凍ワクチンについては、温度が許容範囲外にあった時間帯は、温度が-15°Cを超えたときからワクチンがドライアイスの入ったクーラーに詰められたときまでと見なされました。
     
    複数の停電が同時に起きたこのときの経験を踏まえて、病院のスタッフは同様の緊急時にワクチンを保護するためのいくつかの対策を講じてきました。
     
    まず、必要時に現地の販売チャネルからドライアイスを入手するための措置が取られました。大規模停電時には、ドライアイスは多くの小売業者が食物保存用に確保しようとするため、たちまち入手が困難になります。今ではドライアイスの定期的な調達により、常に投薬とワクチン保管用に使えるようにしています。
     
    さらに、すべての病院が以下の応急キットを備えています。
    • ワクチン移送用の車輪付き大型クーラー2台(そのうち1台は冷蔵製品用、もう1台は冷凍製品用)、
    • 袋および病院別に色分けされたステッカー、
    • 最寄りのドライアイス保管場所およびドライアイスを保管している最寄りの病院のリスト、
    • ワクチンが冷蔵庫またはフリーザーからクーラーに移送された日時を記録するための日誌。
    メリット

     メリット

    ワクチン保管用の薬剤専用冷蔵庫とネットワークベースの連続温度モニタリングシステムの導入により、多くの効果がもたらされました。
     
    まず、病院やそのスタッフが、投与するワクチンの保管は万全であり有効性が確保されているという確信を持てるようになりました。
     
    さらに、新たな危機管理計画を策定し、ワクチンの貯蔵場所を異常事態による損失から守る方法が確立されました。停電時には、温度モニタリングシステムから取得するデータにより、製品の生存性に対するエビデンスベースの判断を組織として下すことができます。
     
    医療施設の冷蔵庫/フリーザー用途でのモニタリングシステムのご利用については、当社までお問い合わせください。